グループ企業ボイス
株式会社香り芽本舗
課題
解決
後継者問題に悩む老舗メーカー創業家が決断した会社売却という選択
2020年にヨシムラ・フード・ホールディングス(以下、ヨシムラ・フードHD)グループへ加入した株式会社香り芽本舗(以下、香り芽本舗)。OEM生産を行っているソフトタイプのわかめふりかけは、加入前より地元中国地方で高いシェアを持つだけでなく、日本全国の百貨店、スーパー等でも販売されるほどです。これほどまでに順調な企業が、なぜ会社売却へ舵を切ったのでしょうか。香り芽本舗の元オーナーである藤原伸一さんに、会社売却に至った経緯や心境を伺いました。
株式会社香り芽本舗 元オーナー
藤原 伸一
1991年に入社。2005年、父である藤原一夫の跡を継ぎ、代表取締役に就任。その後2020年には代表取締役を辞任し、顧問に就任。1年間顧問を務め、現在は現役を退いている。
従業員さんやお得意さまに、最も迷惑をかけないのがM&Aによる会社売却だった
グループに入る前の香り芽本舗は、どのような経営がされていたのでしょうか?
藤原:1967年に設立した香り芽本舗は、もともと板わかめ問屋として創業し、約100年にわたり同族企業として経営してきました。私は創業家として2005年から代表を務め、順調に事業を続けていました。
ただ私が62歳の時に、息子が後を継がないことになったんです。私が経営を続ける選択肢もあったのですが、やはり年齢的にも後継者が未定のまま経営を続けるのは、従業員さんやお得意さまへご迷惑をかけるリスクが高いと思いまして。それで何らかの形で事業継続させる方法はないかと考えるようになりました。
それでM&Aという選択肢にしたんですね
藤原: はい。でも当初M&Aは選択肢の一つという認識で、香り芽本舗の誰かに経営権を譲るという選択も考えていました。ただ、当時私が持っていた株式を後任に引き受けてもらうには、結構な額が必要で……。他にも経営に伴う連帯保証のリスクなどを踏まえると、従業員の誰かに経営権を譲渡するのは無理があるように思えました。
そこで近年、中小企業が後継を見つける手段として一般的になりつつあったM&Aが最も現実的と考え、お付き合いのあった金融機関さんに複数の企業を紹介いただくことにしました。
決め手は“誠実さ”と“将来性”
複数の会社を紹介された中で、なぜヨシムラ・フードHDに興味を持ったのでしょうか?
藤原: 当初ヨシムラ・フードHDも含め20社ほどの企業を紹介していただいたのですが、中には転売などを見据えているファンドもありました。ただ私としては従業員やお得意先、仕入先にとって少しでも良い相手を選びたいという思いが強かったので、売却を前提としない持株会社というヨシムラ・フードHDは、私の考えにフィットしましたね。
また吉村CEOとお話をする中で、このグループに入れば今までの香り芽本舗にはない展開も望めると思ったのもヨシムラ・フードHDを選ぶ決め手のひとつでした。
今までの香り芽本舗にはない展開とは、具体的にどのようなものですか?
藤原: グループ企業ごとにつくるものは違いますが食品という点は共通ですので、製造だけでなく営業面でもノウハウをいただくなど、グループ間でシナジー効果が望めると感じました。
こうしたビジネスモデルは画期的だと思いましたし、ヨシムラ・フードHDは上場していますので。将来的に資金が必要になった場合も、上場企業といった立場の方が資金調達もしやすくなると思い、ヨシムラ・フードHDに香り芽本舗を受け入れていただくことを決意しました。
ヨシムラ・フードHDは、私に千載一遇のチャンスをくれた
実際にM&Aが行われて、どのような変化がありましたか?
藤原: 会社の体制的には、M&Aが成立したタイミングでヨシムラ・フードHDの北堀さんという方が社長となり、私は1年間の期限付きで顧問として関わることになりました。
オーナーや社長が変わったことで後継者問題への不安は解消されたのはもちろん、グループに入ることで事業体制が整い、香り芽本舗の継続性はこれまでに比べると格段にクリアになったように感じます。本当、私にとってヨシムラ・フードHDは千載一遇のチャンスをもたらしてくれた企業ですね。
今後、香り芽本舗にはどのように成長してもらいたいですか?
藤原: ヨシムラ・フードHDの一員となることで、以前の香り芽本舗には足りなかったものを補強していただけるはずだと思っております。もちろん現代表取締役の三島さんをはじめ従業員さんには、新たなタスクが与えられて大変な面もあるはずですが、一つひとつクリアしてもらいたいですね。そして香り芽本舗としてレベルアップし、また一段と飛躍してもらえることを楽しみにしております。